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劣等感は転じて個性に、好奇心を活かして仲間と生きる

 

DOORでは個人の”アイデンティティ”をとても大切にする文化があります。「個を深く知るためのワークショップ」は、あの人の知らなかった一面や隠された本質を掘り出していこうという企画です。堅苦しいのは苦手なのであくまでゆる〜く、カジュアルな雰囲気を目指します。

この記事に登場する人

石本和也

2010年スターバックスコーヒーに入社。様々なセグメントの店舗で人材育成・開発や、オペレーション改善などのチームマネジメント経験。インナーブランドの醸成を得意とする。2019年SASIグループに入社し、現在はBook cafe DOORのマネジメントを行いながら、デザイナーとしてクライアントと伴走する。

あんまこういうの出てこーへんタイプやからな(笑)

できること、楽しいことが大軸にはあるんですけど、趣味とかでも!

どういうこと、、どういうことなんやろ。例えば、自転車でトレーニングしていることは当てはまるんですかね?

はい。もうなんでも。人と比べて、とかではなく、自分がこれできるということで。

じゃあくだらないことから書いていって良いですか?

共に過ごしていく物選びを大切に

あ、真ん中が多いな。

そうですね。では、“物にこだわるところ”あたりから掘ってもいいですか。
自転車もちょっと繋がる気がしていて、物に対してただの道具というより一緒に時間を共にするものみたいな感覚を持っているのかなって思いました。

はい。それももちろんなんですけどめっちゃ気にしていることは、持ち物って、例えばスマホとかやったらiPhoneか、Galaxyかでなんとなくその人の性格出るじゃないですか。

出ますね!言葉では表せないけど。

でしょ。そういう感覚がすごいあるので、「わ、あの人iPhone使ってる」って思われるんちゃうかな、みたいなことではないんですけど、全てそういうような感覚がありますね。買う時に「これ、使ってたらどう思われるんやろ」みたいなことまでは全く考えないけど、物のセレクトには人の性格とか価値観が出るよなっていうのはすごい思っているので、物を選ぶ時には大切に選ぶことが多いですね。安いものでも選ぶ時に妥協してないことが多いですね。

なるほど。ちなみに、1番最近こだわって買ったものってなんですか。

1番最近こだわって買ったものはね、えーっと多分、自転車用のシューズかイヤホンですね。それが1番最近ちゃうかな。

そうなんですね!それのこだわりポイントって何になりますか?

イヤホンは、SONYのワイヤレスイヤホンなんですよ。今僕、基本的に身の回りのものがApple製品なんで、AirPodsProの方がいいと思うんですね。ただ、ここで僕がAirPodsProを買うっていうことが引っかかったのは2つあって、考えなしに買ってるなっていう。こう考えの浅さがあるなって思ったのが1つと、あとは疑いたかった。このappleだけで周りがこう構成されていくことを疑いたい状況にあったんですよね。

なるほど(笑)和也さんはApple製品一択なのかなと思っていました。

よね。だからまず、それの1つとして、イヤホンは元々SONYの音響機器が好きで、元々バンドやってたのもあるんで、そのSONYの音響機器のクオリティがめっちゃ高いっていうのを理解してるんで、ヘッドホンもそう(SONY)なんですよね。色々もうめちゃめちゃ調べてそのワイヤレスイヤホンを買ったんです。その前に使ってたワイヤレスイヤホンは、Nothingっていうイギリスのブランドのやつなんですけど、これはプロダクトデザイン的にかなり優れているもので、高級イヤホンとはされてないですけど、コンセプトとかめっちゃ良くて使っていて、でも最近ケースなくしちゃったので新しく買おうって考えました。

おー、Nothing初めて知りました!じゃあ、もう一つの自転車のシューズはどんなこだわりがありますか?

基本的には性能。あとは、そのブランドが持ってるカルチャーみたいなものが判断基準になります。僕がいつも好きで使っているRaphaっていうイギリスの自転車用アパレルがあるんですけど、そこが出してるシューズで。そのRaphaっていうブランドが好きだからっていうのが大きいんですけど、中でも1番速さを求めている人が使うシューズみたいなものを買いました。

Raphaも初めて聞きました。かなり本格的にやられてるんだなって伝わってきました!

自転車で“ととのう”

それじゃあ、続けて自転車について聞いていってもいいですか。

もちろん。何でも没頭するのが好きで。1番最初は移動手段やったんですね。えっと、僕O脚がめっちゃヒドいんですよ。なんで、マラソンとかに向いてないらしいんです。大体20代半ばぐらいに、体のことが気になってきたからランニングしてたんですけど、結構膝を痛めるんです。

あー、なるほど。トレーニングにも向き不向きがあるんですね。

そう。だから「がっつり走らん方がいいよ」みたいなことを医者に言われたからどうしようかなと思って、元々好きやった自転車でトレーニングしようっていうのがきっかけで。僕が住んでるのが大阪の箕面ってとこなんですけど、近くに山があるんです。箕面から能勢とか京都の方に抜けていく山があって、結構大阪とかその辺の自転車乗りはその山を登りに来るんですよ。そこに家が近いんで、1回登ってみようと思って。1番最初にそれを登った時の、なんかこう、無力さと達成感みたいなものが多分大きいっすね。

相当気持ちよかったんですね!

そうなんです!ほんと死にそうになるんですよ。普段の自分の心拍数とか、ちょっとウォーキングとかランニングとか全力疾走した後の心拍数を測ってみてほしいんですけど、基本的には行っても150とか60とか。スポーツ選手とかは別なんですけど、自転車でそのヒルクライムって呼ばれる山登りをしている時って、大体低くても170ぐらいなんですよ。心拍数でいき切ってる時は180とか190ですね。最大心拍数っていうんですけど、人体の限界ぐらいで、長い登りとかやったら1時間とか、短くても10分15分続けるんですよ。登りっていつか終わるので、登った分降るじゃないですか。この時に、なんかこう無敵になれる。

気持ち的に解放されるってことですよね。

そうそうそう。要は、最近流行りのサウナで「整う」っていう状況に近いと思うんですけど、本当にもうあと1歩で死ぬみたいなところまでいって、そこからこう戻ってくるみたいな時の感覚がなんかすごくね、生を実感するって感じです。

ドMですね!(笑)サウナってもうぼーっとして耐えるっていうものじゃないですか。それよりも、和也さんは自分で極限まで追い詰める方がなんか好きなんかなって聞いていて感じました。

ああ、それはあるね。(自転車は)足止めたら降っていくから、足を回し続けないといけないので(笑)だから、登ってる時はね、「やっぱきついな」とか「なんでこんなことやってんねんやろう」って思う時もある。トレーニングなんで、こう1つの山があった時に、山を登って降りて、また降りたところから登って帰ってきたり、もしくは登った所までぐるっと回って戻ってきて、また同じ山を登るんですね。だから降ったり戻ってる時は「またやんのか」とか、「また登んのか」みたいな気持ちなんですけど。登り出したらどっかのタイミングでやっぱりこう、なんですかね、自分を忘れるというか、無になれる。「あ、きついけど頑張ろう」みたいな感じの感覚。

本質を追求し、得た知識で誰かの役に立つこと

聞いてて思ったんですけど、和也さんって結構、何かを学ぶ前に根本的な知識まで調べたりするじゃないですか。多分カメラとか仕事の方もそうやと思うんです。理論的に何がどうなってこうするのかみたいなところまで調べるのって、いつからそうなったんですか。

いつからかっていうのはパッと思い出せないけど、間違いなくそういう性格で。なんかこう納得したいんですよね。僕は頭がいい方じゃないんで多分できないしやらないけど、本当の気持ちを言えば“1+1”が“2”なのをちゃんと理解したい。

それはかなり研究者的な気質ですね。

そうそう。子供の頃にもなんか言ってたな、なんやったっけな。ボールが転がるのはなぜかみたいなこと言ってたらしい。そういう「これなんでなん?」みたいなことがすごく気になるし、気にはなりたい。で、それを自分で人に説明できるようになりたいっていうのは、結構何事に対してもありますね。

なるほど、和也さんの場合は人に説明できるまでがセットなんですね。

そう、それはありますね。人に伝えたりとか教えたり、教えてほしいって言われた時に伝えたりとかっていうのは、結構重きを置いていますね。高校の時とかにもすでにそうだった可能性があって、よく勉強を教えていた気がします。教えていたというと言い方違うかも知れへんけど、塾にずっと行かせてもらえてたから、学校で学ぶより先にいろんなことを勉強していて、友達が勉強とかでわからんことがあった時とかに、「これはここ、こうで」みたいなふうに伝えて、めっちゃわかりやすいって感謝された記憶はちらほらあるね。

なるほど。その感覚って今の仕事とか前職とかに結びついているのかなと感じました。自分の知っていることを人に伝えるとか。

前職は確実にそうですね。前職は今以上にチームのマネジメントみたいな、人材育成とか人材開発のことに専念をする仕事だったので、それは結構性に合ってるなってのはすごい思っています。えっとーなんすかね、例えばたまに、「なんでこんなことができないの」みたいなんでプンプンする人もいるじゃない?

うんうん、いますね。できることが当たり前みたいなスタンスで。

でも、僕の場合はそういう風に苛立つことは一切なくて、逆にそっちの方がテンション上がったりやる気が出るというか。「この人がこういうことできるようになったら、もっとこうなるな」とか。そのために、自分はどういうことができるだろうかって考えることが、結構仕事上でのモチベーションポイントなんで、それは確実に繋がってるなって感じです。それは今でもそうで、今はプロジェクトをマネジメントするとかについては、綾菜さん(Book cafe DOORのストアマネージャー)をサポートする立場にあります。彼女はパティシエとしてはプロ中のプロですけど、マネジメントみたいなことをした経験はあまりなかった。ただそこに関して僕は彼女にめっちゃ素質あると思ったので、持ち合わせている今までの経験が、100%光るなと思っていたら、それをどういう風にこうサポートをして一緒に歩むか、彼女が輝くかみたいなことを考えて動くのは、やっぱめちゃめちゃ面白いし、楽しいかな。

人と学ぶこと、人から学ぶこと

うんうん、和也さんの人となりがとてもわかりました!そこから繋がりそうなキーワードやなって思ったのが、2つあって。お子さんの話と、“自分の成功よりも他人の成功”みたいなところ。この2つってフラットに人と対峙しないとできないことだなって思うんです。

この“自分の成功より仲間の成功”っていうのは、もう本当に言葉の通りなんです。特に前職とかでこういうシーンがたくさんあって、実体験としてもあるっていう。1人でできることって限られてるやんと思うんです。限られてるというか、例えばデザインの業界でその巨匠級になれる人って本当に数%なんですけど、そんな中で僕がそこに人生の全ての時間をかけるっていうことに、あんま価値を感じられないし、例えば僕がね、グラフィックデザインのことをめっちゃ勉強したとして、原研哉さんを超えれるのかって言ったら、どこかで爆発するかもしれないけど、それって多分いろんなものを犠牲にしないといけないと思う領域やと思うんです。

確かに。何もかも投じないと実現しなさそうですね。

うんうん。だから、自分の身の周りにいてくれるたくさんの仲間が生み出した成功を自分がサポートできたことによって得られていく、波及していくものの総和の方が価値があるなと思うんです。それは前職の時からで、自分の目の前にいるお客さんが、「もうあなた以外考えられないわ」みたいな状況になるよりも、自分の店で一緒に働いてるみんなが少なくてもいいから自分のファンがいる状態が理想で。

すごい具体的でわかりやすい例えです。

そう、色々波及していくみたいな、文化として根付いていくみたいなことの方が価値があると感じる、っていうのがこの“自分の成功より仲間の成功”の付箋のことですね。これはすごい今も変わらずありますね。

この“giver”っていうのもそうですね。

めっちゃそうです!最近の言葉で言うとそういうことだなと思います。だからこれは、今後の僕の人生にとってすごいキーワードになるというか、大切に考えていかないといけないことだなと感じます。

なるほど。人生の指針みたいなものがあるのって素晴らしいことだなと思います!お子さんの方はどうでしょう。

子供はね。この文脈なのかわかんないんですけど、あのー、難しいね。なんかね、やっぱ彼(子供)から学ぶこともあると思うんです。僕らちっちゃい頃の記憶ないじゃないですか。例えば僕が英語を話せるようになるのと、彼が日本語を話せるようになるのって、多分彼が日本語話せるようになることの方が難しい。彼がどういう風に成長していくかっていう、生き物としての成長を見させてもらっている、っていう感覚。生まれた時って目も見えてないけど、「うわ、見えてるようになってる」って気付いたり。

1つ1つのことが感動的になりますよね。

うん、そうそう。「あ、こうやって人は歩けるようになるんや」「あ、こういうことをやれば、人は喋れるようになるんだ」っていうのを、1つ1つ彼ができるようになっていくところから学ばせてもらえるかな。今って、多分彼が友達と認識してる人いないと思うんですけど、いるかもしれないけどまだそういうコミュニケーション取れてないんですけど、彼から「僕の友達でこういう人がいて」みたいな話になった時に、人はどうやって友達を作るかとか、例えばね。「これやりたい」って彼が言い出した時に「あ、人が興味を持つのって、こういうきっかけなのか」みたいなのがあると思うんですよ。それは彼が知恵というより、本能で身につけるのだったら、多分それは僕にもある。それを大人になるにつれて知恵で武装していっているだけやから、こう原点を見つめ直していくみたいなことを彼を通して学べると思うんです。

じゃあお子さんは和也さんにとって、ある意味学ばせてもらっている先生のような感じですね。

先生、確かにそうですね!

何か仕事にももしかしたら繋がることがあるかもしれないし。

うんいや、マジでそうやと思う。やっぱり聞いてないことって喋れるようにならないはずで、聞いてないことは理解できないはずやけど、それって僕らも多分一緒やと思うんですよ。初めて言われたことって絶対理解できないし、確かにそらそうか、っていうのは改めて気付いたりしました。

キャンプと子どもと人間の本能

これって僕からも好きに喋っていいの?

はい!ぜひどうぞ!

キャンプも今までの話と繋がってて、今ってキャンプブームじゃない?ホテルとかで泊まるよりも、キャンプの方が安いんですよね。なので、そういう感覚でやってる人もいると思うし、キャンプグッズとかで面白いものが多いから、収集するので楽しいっていう人もいると思うし、僕もその辺もあるんですけど。ただ僕にとって重要なのって、仲間と焚き火を囲んでいる時間とその時に喋ることなんですよね。あ、キャンプとかやったことあるよね?

ありますね。無人島に何度か(笑)

よね。あのねキャンプで行くと、キャンプに行くとうんいつも以上に話めっちゃ、盛り上がるんすよ。で、特に焚き火を囲みながらお酒飲んでる時とか最高。気持ちがブーストしてるから考えがめっちゃ出て、セッションめっちゃ弾むんですよ。それも重要なんですけど、僕的にはその中でところどころある“無”の時間みたいなのがすごく心地いいなと思うんです。僕の捉え方でいくと、進化論とか詳しくないんですけど、僕らって今生きてるってことは、僕らの先祖が生きてくれたから生きてるわけで。

そうですね。すごい大きいスケールの話ですね。

まあ、僕らはそれの最新じゃないですか。こう1つ1つ戻っていった時に絶対あるなと思うのは、僕らはその火を起こすことができたから生き残っていると思うんです。多分有名な話で、火を恐れたか、恐れなかったかで変わったみたいな。だからキャンプに行った時に焚き火をしていて、異常にやっぱ落ち着くんですけど、それってなんでなんかなって考えた時に、僕が行き着いたのが、細胞レベルに火に守られているって感覚がうんあるんだなと。自分が火を起こせたから生き残れた、みたいな経験は自分にはないけど、そういうのがこう及ばない領域で、要は本能みたいなので、心地よく感じるとか、大切に思うみたいなことってやっぱあるんやろなっていうのを最初に気づかせてくれたのが、多分キャンプなんです。そういう意味では子供の話と繋がるんですが、だから本能はあるんだろうなって子供を見てて思います。「あ、泣きたい時は泣きゃいいんだな」とか「しんどい時はしんどいでいいんだな」とかを子供を見て思って。「今そんな泣く?」みたいな時も泣くけど、「きっと悲しいことがあるんだろうな」「本能的になんか察してるんだろうな」みたいなことを思うと、なんか俺って無理してるかも、みたいなのも気づいて。彼と焚火から学ばせていただいてるっていう。

なるほど。そこがそう繋がると思ってなかったです。

なんかそこから、もうちょっと調べてみたいなと思いましたね。人間の本能的なところを。

疑い、問いを投げかけ、内省する

キャンプのことって言ったら、“自分を顧みる”とかのキーワードが繋がるんかなってシンプルに思ってたんです。

それは繋がるのかはわかんないですけど…あ、勇輝くん(デザイナーの中町勇輝さん)とかって結構器用系だと僕は思ってるんです。クレバーな感じで、簡単にとかって言ったら怒られるかもしれへんけど、簡単に98点が取れる、みたいなタイプだと僕は思ってる。要は、いわゆる天才やなって感じの印象。僕は結構へっぽこやと自分で思っていて。全然いい点数が取れないし、そんなみんなが驚くような解決案とかも思い浮かばないタイプなんですけど、冷静に今の自分の状態を健全に否定できる、今の状況を健全に疑えるみたいなことは強みとして思っています。例えば、自分のことでいうと、周りの人は全然気にしてなかったけど「あの自分はよくなかったな」とか後で考えたり。

あー1人反省会みたいなことですよね。

そうそう。なんも言われてないし、指摘されたわけでもないし、それによってこう明らかに気まずくなっているみたいなこともないけど、「あれはもっとこうできた」とか、「こういう風に伝えた方がよかった」みたいなことはかなり早くできるような印象があったりとか。そんな自分自身ができる人間やと思ってないから、まあ譲れない部分はもちろんあるけど、基本的なことは全て疑える。

それってネガティブなことが多い印象を受けたんですが、ポジティブなことを自分に向けることもあるんですか。

僕的には全部ポジティブな感覚。要は自分のことを100%正しいとかって全く思ってない。だから、今までの自分のやり方でバグがなかったから、今後もバグがないんだとは思わない。そこに誰かが気づいてくれたことに対して、「あ、そうかも」「自分も今までのこのやり方って当然と思ってたけど、違うかも」みたいなことを結構容易に受け止められるんです。

素敵な考え方ですね!

自分自身に対して身の回りで起きてることに関して言うと、ミーティングとかで結構議論が進んでいくときあるじゃないですか。その時に違和感を覚える瞬間があって。「今、みんなが議論してることは間違えてはないと思うけど、そもそものとこずれてんじゃないか」っていうことをよく感じる。それを投げかけて、頭のいい勇輝くんとかに解決策を考えてもらうっていう感覚があります。自分の中で気付くっていうところが得意分野だから。

それって、今まで解決するまで全部自分でやりたい、という感覚になっていたことってあるんですか。

それももちろんあるけど、結局そこに長けてるわけではないっていう感じ。自分がやるしかない状況ってのもほとんどないとは思うんですけど、流れとして自分がやった方がクオリティとか、ベストだろうって思う時とかにはやるし。例えば僕とAさん、Bさん、Cさんを見た時に僕がやるのが最適だろうなみたいな時はやると思うけど、全てに関してそうっていうことではなくて。だから、仲間とかチームみたいなことにも繋がってるんだろうけど、やっぱり自分が1番価値を発揮できるところで、そうじゃないところではどうやったら仲間が価値を発揮できるのかみたいなことを考えるかなあ。

なるほど、それで冒頭のイヤホンの話を思い出しました。一旦今までの自分が集めてきたApple製品とかを振り切ったじゃないですか。その感覚とちょっと似てるかもっていうか、繋がってるかもっていう。

そうかもね。あのねコロコロ変わるんすよ。趣味とか、気が変わる。気が変わるというと言い方悪いけど。「本当にAppleがいいんか」みたいなことは最近の僕の話題です(笑)今もほぼそうやけど一時期はiPhone、AirPods…は初代ぐらいしか使ってないけど、iPad、MacBook、 Apple Watch、Apple Music。僕ずっとGoogleChromeやからSafariぐらいかな、使ってないのは。

もうほぼ行き切ってるじゃないですか!

そうですね。今Apple Watchつけてないですよ。まあ壊しちゃってつけてないんですけど。今、iPhone変えようと思ってずっとどれがいいか検討してるんですけど、多分マックもそのうちやめると思います。逆にダサいなと思ってきて。その1歩がイヤホンをAirPodsにしなかったっていうのは、僕の中では割と大きくて。

変えるっていうことに対して、あんまり自分の中でハードルを感じてないんかなって思いました。

そう。本当に感じてなくて、それをよく思わなかった時期もあるし、よく思わない人もいると思うし、芯がないというか。そういうことでもないなと思う、っていうのと、明石家さんまさんが言ってたことがあって。明石家さんまさんって全然落ち込まないんですって。ポジティブシンキングとかそういうことじゃなくって、全く落ち込まないらしいですね。なんでかって、そもそも自分に期待してない。「みんな自分に期待しすぎや、ギャップで落ち込むんやで」みたいなことを言っていて、なるほどなと思っていて。そもそも自分自身が正しいと思ってないから。とはいえ、ある一定のジャンルとかでは我を通す時とか「いや、これは絶対こうだ」と思うみたいな瞬間はもちろんあるんだけど、基本的にはあんまり自分のことを大したことないと思ってるから、能力的にも、人的にも。なので、指摘された時とか調べてて何か気づくとかでコロっと変わって「あ、そうなんかも」ってなる。

それって芯もなくコロコロ変わっているようで、変わり方の軸とか根本は変わらない、と思うんですよね。

そうですね。あ、それはそうかも、そうやと思うよ。芯がないわけではないってのはそういうことで、僕2つ大切にしてるんですけど、価値のある仕事をしたり、まあ仕事じゃなくてもですけど、価値のあることをしたいっていうのが根底にあります。“giver”みたいな利他の精神みたいなので、自己犠牲にするわけじゃないけど、誰かに何かをしているみたいなことに、喜びを感じられるタイプなんで、それはやっぱ変わらないんですね。そのために自分が変わるべきことは変わるし、環境を変えるべきことは変える。

なるほど!なんか全部繋がっていっているような気がします。

家族旅行の価値

この辺りもちょっと気になるな、“旅へ行きたい”とかも。これから先のことはどう考えているんかなっていうところを聞きたいです。

なんかね旅へ行きたいな、みたいな感じ(笑)元々ね、金の無駄やと思ってて、旅に全く価値を感じなかったタイプなんです。今31ですけど、多分30年間ぐらいそういう人生で。これもきっかけは子供なんですけど、子供が生まれるとやっぱね旅行行きたくなるんですよ。

あー、一緒にどっか行きたい、何かして思い出残したいみたいなことですか。

そうそうそう。それは最初はねなんか旅行行っている家族っていう、親としての見栄みたいな感じなんですけど、息子がね半年前ぐらい、8月夏ぐらいに家族で和歌山のアドベンチャーワールドでイルカショーを見て。その時って彼1歳半にもなってないぐらいとかだから、100%記憶はないと思うし、なんなら本当はディズニーとか海外とか北海道、沖縄とか行きたいけど、100%彼の記憶がないから今行ってもしゃあないやんみたいなのが石本家の話で。もうちょっと大きくなってからそこは一緒に行こうって言ってます。まあ近場やしみたいな意味で和歌山にアドベンチャーワールド行ったんですけど、今でもね、イルカショーの映像をYouTubeで見るのが好きで、彼。

ええ!すごいインパクト残してるじゃないですか。

そうなんよ。彼が5歳10歳になった時に、1歳半の時にアドベンチャーワールド行ったよね、みたいなことは100%記憶には残ってないと思うけど、彼の価値観を作ったのかもしれない、と。だから旅に行きたいと思っています。月並みやけど、いろんな体験を一緒にしたいなって。

なるほど、ちなみに旅に行くのはお子さんありきで考えてるんですか。自分で行くとか友達ととかっていう感覚は全くないですか?

1人っていうのはあり得るかなと思うけど、基本的には家族で行きたいなって。なんかほらDOORって松江にもあるじゃない。出張とかで松江にいくから、その松江に行くのって旅感があってめっちゃ僕的には心地いいんです。それでちょっと今まで価値を感じてなかったけど、場所を移動するっていうことに価値を感じ始めてるのもある。基本的には子供と行きたい、家族で行きたいっていうのはありますね。

抱え続けた兄への劣等感と、自身の原点について

うーんなるほど!ちなみに、「これぞ自分を表してる」みたいなキーワードってあります?今まで話したものでもしてないものでも。

文脈で言うと、この“兄への劣等感”のやつ。そこから“自分を顧みる”とか、“知らないことを調べて工夫する”とか“仲間の成功”とか“giver”みたいなことになっていってるっていう文脈ですね。

じゃあ、ちょっとここを最後に聞きたいです。

今までの話で自分が大したことないっていう話がいっぱいあったと思うけど、兄はね、逆なんですよ。何をやってもできる兄なんですよ。

お兄さんはとても器用なタイプなんですね。

兄が小学校の頃やね、ソフトボールやってて、あまりにもソフトボールがうまいから地域の少年野球チームから引き抜かれたんですよ。引き抜かれてなんかキャプテンしてみたいな。中学校は肘を壊したから、野球は辞めるんですよ。けど高校でサッカー部と野球部からスカウトされるっていう。勉強させたら勉強もできる。兄は今は薬剤師なんですけど、国家資格だし、めっちゃ勉強するから。僕は勉強頑張るってのはできなかったけど、彼はもう1日に22時間ぐらい勉強してて、すごいなと思ってました。僕は身長低いんですけど、兄は身長も高いです。で、お金も貯められるし。そういう感じなんで、リアルに僕が子供の頃に思ってたのは、兄の出涸らしでできた人間だと思ってたんです。高校ぐらいまでは多少僻んでいたと思うけど、普通にそういうもんだと思っていた、っていうのが僕の価値観の根底にありますね。

なるほどなあ。ずっと真横で比べてしまうのは辛いですね。

そんな感じで、それまで結構ひねくれてたと思うんですよ。「大人なんてクズだ」みたいな感じだったんですけど、それからスターバックス入って、いろんな大人がいて、情熱を持つことみたいな重要さ、大変さを教えてもらったりとか、力を合わせるみたいなことを教えてもらって。で仕事を頑張って。前職を辞めて、デザインの仕事をしたいなとかってなった時に兄と話して。あ、兄と仲いいんです。飲みにいって今みたいな話をしたりとかもしていて。で、その時に兄から「でも俺はお前のことをめっちゃすごいと思ってる」みたいなことを言われて。兄が言ってくれたのは、彼が薬剤師してるのは、完全にこう諦めというか、自分がやりたいことにかけるっていうことが、すごく怖いと。薬剤師は正直、一生安定な仕事で、転職先も探したら秒で見つかるみたいな仕事。「だから正直言って、薬剤師の仕事なんか、地味でやりたいと思ってないけど、安定的に収入を得られるからやってるだけで。けど、今自分が何をやりたいのかとか、そこにリスクを投じて色々やれるみたいなことは、なんかすごいと思う」って。「マジでやりたいことやれよ」みたいなこと言われて。そういう経験があって、その時からこういう公の場で“兄への劣等感”とかを書けるようになった。それが28歳ぐらいかな。そういう経験がありました。

結構最近の出来事ですね。

結構最近。転職したタイミングくらいなので結構最近ですね。27,28ぐらいか?そういうこと言われて、嬉しくて。結構兄弟仲悪い人多いじゃないですか。だから、もったいないなと思います。その感情はわかるけど、兄弟は仲良くした方が面白いと思う。

そうですね。ちゃんと話せてすごくいい関係ですね。

子供の頃は仲悪いもんやと思うんですよ。1番身近にいて環境が一緒の人間で、良いとこ妬んで、良くないとこは目に付いてしまうし。大人になって自分自身のことをちゃんと考えられるようになった状態で兄弟と良い関係を築くと面白いな、と思います。一緒に育ってきてるはずやのに全然違うし、彼から学ぶことめっちゃ多いし、なんかいいなと感じるんです。みんな仲良くした方がいいと思う!

します!これは和也さんの考え方としての原点であり、今の和也さんにも繋がっているんですね。私も弟とちゃんと話そうと思いました。

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