お菓子作りへの想い
製菓の専門学校時代の話や、今後DOORで取り組みたいことについての話を伺いました。
今回は、Bookcafe DOORでパティシエとして働く 竹内綾菜 のルーツを探るインタビューです。
────綾菜さんはどのような幼少時代を過ごしましたか?
私は、母の実家がある宝塚で生まれました。住んでいたのは大阪の堺です。5歳頃まで堺に住んでいたのですが、親が離婚したのをきっかけに母と4歳下の弟と宝塚にある母の実家に引っ越して、そこからずっと宝塚に住んでます。なので堺での記憶はあまりなくて…幼稚園の名前くらいしか覚えてないんです。
でも幼少時代は、外で元気に遊ぶタイプでしたね。小学校に入学してからも、学校と公園をずっと行き来してました(笑)小さな学校で、2クラスしかなかったので、毎日クラスの半分くらいの人たちと公園に集合していました。キックベースとか、公園の遊具の中でゲームしたりとか…。もうずっと外にいましたね。雨の日でも学校の中で鬼ごっこするような元気な子供でしたね。
────中学校ではどのように過ごしていたのですか?
中学校は本当に楽しくて。ソフトテニス部に入って、朝練・放課後にずっと練習していて、部活生活!っていう感じの生活でしたね。今までの人生で1番楽しい3年間だったなって思います。学校の体育大会とかイベントごとは最前線でやりたい!ってタイプだったし、委員とかも積極的にやってましたね。今よりもポジティブで、元気で、部活も1番手として試合とか出ていて充実していました。
あとは…あまり頭がいい学校ではなかったので、結構勉強しないと高校入れないっていう感じだったんです。親への負担的にも絶対公立じゃないと、という想いもあって。中学3年の時に本当に一生懸命勉強して、公立の学校に進学しましたね。そこで目が悪くなりました(笑)それくらい勉強しましたね。
────高校時代はどうでしたか?
高校ではずっとバイトをしていましたね。最初ソフトテニス部にも入ったんですけど、母のために、弟もいるし、っていう感じで部活をやめてバイトをしていました。なので学校にあまり思い入れがないんです。学校が終わったらすぐバイトっていう生活をずっと送っていたので、バイトの方が楽しかったのかも。
あと私が高校に入るタイミングで、母と弟と私で家を出て3人で住み始めたんです。これが結構大きかったです。母の実家を出たので、気持ち的には少し楽になりましたね。
────綾菜さんは製菓の専門学校に進学したとお聞きしたのですが、その経緯を教えてください。
私、小学校の卒業アルバムにも将来の夢はパティシエって書いていたんです。幼い時から“作る”ということが好きで。折り紙でも粘土でも手先の細かい作業が好きだったんです。私の母は料理が上手なんですけど「母を助ける」という思いが強くあったので、料理を手伝ったりしていました。小学生の頃のバレンタインとかも、大きな箱に何種類もお菓子を詰めて友人に渡していましたね。それが本当に楽しくて、喜んでくれる反応を見るのが嬉しかったんです。こう考えると、喜ばせたいっていう思いが強いのかな。自分の作ったもので喜ばせられたら私も嬉しいっていう感覚です。
その時からずっと製菓の学校に行きたいと思っていたので、高校1年から3年までずっと製菓の学校のオープンキャンパスに通っていたんです。その学校はオープンキャンパスを毎週やっていたんですよ。それで先生ともとても仲良くなって。月に2回くらいは行っていましたね。
でも専門学校に進むのか大学に進むのか考えた時期もありました。パティシエってキラキラして見えるけど、そんな華やかな世界ではないのも分かっていたので…
栄養士とかも考えていたんですけど、結局は作ることが好きということと勉強したくないっていう理由で、製菓の専門学校に決めました(笑)
────実際に専門学校に進学していかがでしたか?
私は人付き合いが苦手で…授業が終わったらすぐ帰宅、みたいな感じでした。専門学校にも部活みたいに朝練、放課後練があって。他の人よりできないって思われたくなくて、ずっと行ってましたね。実技は練習したらできるっていう感覚だったので、テスト前に詰め込んで練習して、みたいなことはなかったんです。そんな風に過ごしていて、初めてつまずいたのが「ラテ」なんです。あ、向いていないと思って(笑)カフェの授業があったんですね。コーヒーとかラテアートとか、黒板にメニューを書くのとか、ラッピングとか色彩とか…とにかく広く学びました。ラテアートは本当に上達でしなくて、トイレに泣きに走るみたいなこともありましたね。授業中に嫌すぎて逃げたりとかもしていましたね。「こんなに練習してもできないことがあるんだ」と初めて壁にぶち当たりましたね。
私はコーヒーの道には進まないし、別にいいかって感じのスタンスになっていったんです。この時はケーキ屋さんかホテルで働くことを考えていたので。
専門学校は2年制だったので、入学してすぐに就活の話になるんですね。それで私は2年生になってすぐ大阪のホテルでインターンとして、1ヶ月くらい働かせてもらいました。ホテルのペストリーっていうパティシエの部署に入って、仕込みからウエディングケーキの製作までしていましたね。それがとても楽しかったんです。その日の仕事が割り振られて、手が空いた人はホテルの部屋に出すショートケーキとかモンブランの仕上げを担当するって感じだったので、「やりたいです!」って言って積極的にやっていましたね。ショートケーキのナッペ(デコレーションをする際にクリームを塗って行く作業)がしたくて。なんでか専門の時からショートケーキへの固執がすごくて(笑)
授業で、お客さんに売る用のケーキを作る販売実習があったんですね。それは基本的に3.4種類作るんです。スポンジ生地のケーキ・ムース・タルト・グラス(プリン等)で分けられているんですけど、私は2年間ほぼスポンジ生地のケーキを担当するくらいスポンジが好きなんです。今でもショートケーキとかスポンジケーキが好きで、食べるのも好きです。
────私も綾菜さんが作るショートケーキが大好きです。卒業後はどこに就職されたのですか?
インターンで働いていたホテルに就職しました。個人店よりは、仕組みがしっかりしていそうな大きな企業で働きたいと思っていたのが決め手です。学校を卒業する前の3月から働き出して、宴会のビュッフェのケーキを作ったり、ウエディングケーキを組み立てたりとかしていました。本当に楽しかったです。私が働いていたホテルで、いちごビュッフェとか◯◯ビュッフェとかをよくやっていたんですね。あれすごい大変なんですよ(笑)お昼と夜でオブジェ入れ替えたりとかも…毎日総動員でやっていました。
だけど結局、1年間で辞めてしまいました。企業的にはホワイトでとても良かったんですけど、対人関係のストレスで体調を崩してしまって。でも本当にいい環境だったので、製菓の学校を出て就職先を迷われている方にはおすすめできます(笑)私はたまたまタイミングが悪くて、合わない人がいたっていう感じですね。
────その後はどうされていたのですか?
その後はパン屋さんで働いて、箕面のカフェで正社員として働いていたけどコロナで駄目になって、また前のパン屋さんで働いて、という流れですね。私、ホテルを辞めてから少しおかしくなってしまって。河川敷でお酒飲んで過ごしたりして…人生で初めてお酒で記憶を無くしたのもこの時ですね(笑)あまり正気ではなかったんです。友人からは「しばらくゆっくりしたら?」と言われていたんですけど、何もしていないと自分のことをどんどん嫌いになっていってしまいそうで。家から近い・オーニングスタッフ、みたいな軽い条件でそのパン屋さんで働くことを決めました。朝の4時から13時までの勤務とかだったんですけど、勤務後に遊びに行ったりしていましたね。夜まで動いている日が多くて4時間も寝ていなかったんじゃないかな。だから今でもあまり寝る体になっていなくて、何もなくても5時半に目覚めたりします(笑)
────パン屋さんで働いている期間もお菓子作りは続けていたのですか?
そうですね。自分でお菓子は作っていました。家族や友達の誕生日ケーキを作ったり、仕事場に持っていく菓子折りを作って欲しいとか、結婚記念のケーキ作って欲しいとか、友人から頼んでもらえる機会が多くなっていったんです。お菓子作りを辞めるという考えは全くなかったですね。好きだから作る、だから上手くなれると思っているので。
パン屋さんの間で働いていた箕面のカフェは焙煎所だったので、コーヒーと触れ合う時間が多かったんです。毎日コーヒーを飲んで、説明できるようにならないといけない、味の違いを分かるようにならないといけない、と思って勉強しましたね。あと、とても良いマシンだったので、なんとしてでも身につけたいと思って、毎日牛乳3.4本買って行って、ラテの練習をたくさんしました。半年くらいこのような日々を過ごして、やっと感覚を掴んでお客さんに出せるようになりましたね。そこからは楽しい!と思えるようになりました。
────なぜBookcafe DOORで働こうと思ったのですか?
去年の年末くらいかな…たまたまネットでDOORを見つけて。次に働くところは長く働けて、やりがいを持てる仕事ができる場所がいいと思って、半年間くらいダラダラと探していたんです。そんな時にたまたまヒットして、なんかいい感じかも!と思って話を聞きに行きましたね。働きたいと思った決め手は面接です。面接で初めて和也さんと出会って、なんか今までと違うって思いました。その時私は、今までやりがいをもって仕事ができたことがないし、楽しいと思ったこともない、みたいなマイナスな話ばかりしてしまったのに、面接の段階から「やりたいことをやってくれていいよ!」と言ってくれて。何この人って思ったんです。なんでこんな良いように言うんだろうって。だから最初、和也さんのこと全然信じられなくて(笑)でも今ではDOORに採用して下さったことに本当に感謝しています。
────今後Bookcafe DOORでやりたいことはなんですか?
DOORで本格的なコーヒーを出したいです。マシンではなくて、ハンドドリップで淹れるようにしていきたいし、ラテアートもしたいです。あとは…誕生日ケーキ・クリスマスケーキを予約制にして販売したいし、店内で出す誕生日プレートもやりたいし、こころちゃん(インタビュー聞き手)もお菓子作りが好きだから2人で何か作ってみたいっていうのもあるし、テイクアウトできる焼き菓子も作りたいです。やりたいことはたくさんあります(笑)そして全部やっていく予定です。設備的な問題もあるので少しずつ実現させるために動いていきたいです。この何年間かずっとなあなあで働いていたなと思っているので、やっと今仕事に意欲的になれてやりがいを持てています。この環境に感謝しながら頑張っていこうと思います!
兵庫県宝塚市
兵庫県南東部に位置し、住宅地が広がる南部市街地と、豊かな自然に囲まれた北部田園地域から成っています。 市街地から大阪や神戸へはいずれも電車で30分ほど。 年間を通して多くの観光客が訪れます。