「共創のきっかけを作りたい」 DOOR CLASS×みたて”朔” イベントができるまで | DOOR-MAGAZINE 「共創のきっかけを作りたい」 DOOR CLASS×みたて”朔” イベントができるまで | DOOR-MAGAZINE

「共創のきっかけを作りたい」 DOOR CLASS×みたて”朔” イベントができるまで

DOORが運営するコミュニティ「DOOR CLASS」と、旅と日本酒を通して地域を活性化する「株式会社みたて」さんがコラボし、兵庫と島根の文化・風土・ビジネスを二県のこだわりの日本酒を酌み交わしながら語り合うイベントが、7月29日にbookcafeDOOR松江店にて行われました。 今回はイベントの企画運営をされた石本和也さんと吉松孝夫さんの二名にお話を伺いました。

新しい可能性の模索、「朔」を兵庫から島根へと

ーー最初に簡単にイベントの概要について教えていただければと思うのですが、今回のイベントが「DOOR CLASS」でのイベントというとこで、まずは「DOOR CLASS」についてご説明していただけますでしょうか。

吉松:「DOOR CLASS」はイノベーションを起こしたいなと思っている事業者さんに入ってもらうコミュニティになります。「DOOR CLASS」に参加いただいている企業さんがいろんな会を通して交流をして、「うちの会社だとこういうことをしている」「こういうところを目指してる」といった想いを共有いただき、協業して全く新しい事業を展開するということが、コミュニティのゴールになっています。例で言うと「森のわ」さんと「神防社」さんのような感じですね。それで今回は「みたて」さんにご協力いただいてイベントを行いました。

石本:まず「みたて」さんをご紹介させていただきますね。「株式会社みたて」さんはSASIのクライアントなんですけど、元々は旅行・観光業をされていて、インバウンドの方向けに日本文化を紹介するっていうような旅行商材を販売していらっしゃいました。ただご存じの通りコロナがあってインバウンドという人たちはほぼ完全に消滅して、どうしたものかっていう状況にあったんですね。そこで代表の庄司さんが日本酒を題材にしたサービスや仕事をしたいなってことをずっと思っていらっしゃって、その土地土地の文化が抽出されたものが日本酒だという考えを持たれてました。日本酒を通してその土地の文化や魅力っていうことにもう1度学び直して、そこから日本のことを知って次世代に繋いでいったり、海外の方向けに日本の美しさみたいなものを改めて発信していきたい、という想いで「朔」というサービスをやってらっしゃいます。松江は出雲大社など歴史的背景がある地域で、かなり日本酒と密接に結びついていて、出雲も日本で何か所かある日本酒発祥の地と言われてるんです。それで、みたてさんの「朔」を持っていって島根の地酒と掛け合わせながら、何か新しい可能性みたいなことを模索できるんじゃないかと思って開催したイベントが今回のものになります。内容としては、兵庫県播磨地方の日本酒と、島根県松江市の李白酒造さんの日本酒3種を飲み比べながら、味の違いから食文化の違いなどをセッションするという会でした。

ーー詳細にご説明くださりありがとうございます。お二人はどのような役割で動かれていたのでしょうか?

石本:企画は僕で「DOOR CLASS」の担当が孝夫さんで、当日はパネラーとして清人さんと庄司さんがいて、僕が司会進行するっていう感じでしたね。あとは松江店のカフェのスタッフの人たちには、日本酒配膳を手伝ってもらったりしました。

経営者やクリエイターの集まるイベントを目指して

ーーちなみに今回イベントに参加された方っていうのは、全員「DOOR CLASS」に入られてる方でしょうか?

吉松:参加してくれたのが10名なんですけど、そのうち6名くらいが「DOOR CLASS」に入られてる人でした。あとは青年会議所や今クライアントになっている旅館の経営者の方や、みたてさん繋がりの現地のデザイナーの方などに参加いただきました。

ーーじゃあ今回は会員制のイベントというよりも、いろんな人に参加いただけるようなイベントだったということですね。

吉松:そうですね、先程話に出たようなイベントの目的に沿うような方を広く募集していこうという感じでした。今後も会員制のイベントというよりかは、このような形で行っていきたいと思っています。

石本:僕が発案者なんですけど、事の発端から言うと「イベントがやりたい」っていうことなんですよ。カフェとしては宝塚店も松江店も好評いただいているんですが、経営者の方やクリエイターの方たちにも、もっと来てもらおうということを考えた時に、そういう人たちが興味を持って訪れることができるようなイベントをしたいと思ったのがきっかけですね。そこで、僕たちだけでできることは限られてるので、クライントの力を借りようっていうのがあったり、イノベーションの掛け合わせを生みたいっていうのは僕たちも思っていることなので、クライアントの方に協力いただきつつ、このクライアントの方には事業が次に繋がるような機会にすることができるイベントってどういうやり方があるかなって考えてたんですね。いろんなクライアントの方がいらっしゃる中でもみたてさんに協力いただいたのは、まず松江でやりたいという前提で、松江でやる意味があるものってなんだろうって考えた時に、さっき説明した日本酒の話があったり、また「朔」は2021年度の山陰広告賞の金賞をいただいてるんですね。
そういうこともあって、松江で「朔」のことをもっと露出していくっていうのはかなり可能性があるだろうなと思って、みたての「朔」をあっちに持っていくっていうのが割と早い段階で、僕の中では固まりましたね。
それから、じゃあどういう人に来てもらえたらよりイノベーションが起きるんだろうかとか、その内容をどういう風にしていったら経営者の方とかクリエイターの方とかは面白そうかもと興味持ってもらえるんだろうかっていう風な流れで考えていました。

ーー確かに今回のイベントに関して、コンセプトというか資料みたいなものをしっかり作られてましたよね。

石本:そうですね、結構しっかり作りました。あとこの辺はリアルな話なんですけど、イベントやりたいと言ってもやっぱり赤字は出せないわけなんですよね。松江に行くってなったら、こっちから松江に行く人間の移動費とか宿泊費がかかるので、だから行ったのは僕と清人さんで、孝夫さんはごめんって話になりました。その辺のコストとかも考えて、SASIの経営層に提案していった感じですね。最低集客ラインが10名ぐらいで、あといろんなコストでこれぐらいかかるよねっていうところで、料金はこれくらいもらえたらって考えて、結果的には少し黒で終わることができました。
だから、こういう人たちを集客したいですっていうところから始まって、「朔」や「みたて」と共創の可能性があるようにってところで酒蔵とかの関係者とか地元の産業の事業者の方だったりにお声かけしました。すごく興味を示してくれて、でもスケジュールが合わなくて当日は来られなかったんですが、お酒を無償で提供してくださったり、とてもご好意にしてくださりありがたかったです。「朔」が日本酒を中心とした地域の文化を大切にしてるので、例えば兵庫の播磨地方なら播州織とか、その土地土地のアーティストの方とかを巻き込んでやってたんですけど、そういう人たちも来てくれたら嬉しいよねって思ってお声かけしていました。あとは「朔」の売り先になると考えた時に観光業の方はいいだろうなと思っていたのと、あとは観光業って考えた時に行政の方にも来ていただきたかったんですがコロナの関係などで今回は難しいとなりました。集客は孝夫さんがリーダーとなりながら、松江店の店長と連携して動いていたって感じですね。

経営者やクリエイターの集まるイベントを目指して

ーー当日のスケジュールについて少しお伺いしてもよろしいでしょうか?

石本:当日のスケジュールは、事業説明をプレゼンのようにして、そのあとは一応題目はあったんですけどフリーな感じで話しましょうってしてました。最後の辺りはこちらから話すというよりかは、参加してくださった方たちがすごい積極的にいろんな話を聞いてくれたりとか、松江の日本酒の話とかをしてくれて雰囲気としてはかなり盛り上がっていた感じです。

ーー「共創」ということもありますし、最後の方は各々でコミュニケーションをとってほしいという意味合いでスケジュール組んでたってことですね。

石本:そうですね。途中までは司会してましたけど、乾杯して飲み比べして「全然ちゃうな」みたいに話し出してからはもう結構皆さんで席とかも移動しながら。余談ですけど、当日お酒を置くシートがあって、それは飛行機移動の間に40分くらいで急いで作りましたね。

イベント開催の振り返りと今後に向けて

ーー孝夫さんは前職でイベント会社にいらっしゃったと思うんですが、イベントを行うに当たって大変なのってやはり集客なんでしょうか?

吉松:そうですね、イベント屋として1番大変なのは集客なんですよね。無料だと集客しやすいですけど、さっきも言ってたように黒字にしないといけないっていうので、仕入れ代や移動費・旅費とか経費だけでも結構いって、4000円〜5000円くらいにはチケット代しないと厳しいなとなって。そうなった時に集客の難易度って一気に跳ね上がるんですね。単発のイベントでも集客できるっていうほどの知名度がないと難しい。うちの場合はまだ現地で動ける人が少なかったり現地の人のネットワークを知らないとか、この解決は結構苦労しました。今回はいろんな人が協力して声かけなどしてくださりましたが、この辺りは課題だなと思ってます。

ーー「bookcafeDOOR」ができたのもまだ去年の末頃なので、その辺りは厳しい現状がありますよね。ちなみに今回のイベントはいつ頃から構想され始めたんでしょうか?

石本:7月29日が本番で、6月16日からビジネスケースっていうフレームワークを作りました。目標を決めてその目標に向かうために現状の問題点、それが解決された時にどういうことが起きるのか、そしてそれをするための解決方法、費用がどれだけかかるから、これぐらい売り上げたらトントンなるとか、これぐらい黒字でますとかっていうのを書きます。あとはこれをやっていこうと思った時に、どういう課題があって、どういうリスクがあるか、どういう人たちを巻き込んでいくかっていうのを纏めて書いたのが16・17日でした。頭の中で考えてたり口頭で相談してたりはあったんですが、本格的に動き始めたのはそこからで、その書いて纏めたものを一旦孝夫さんに見てもらって、いいですねという話になりました。そこから経営陣の方に上げていって話しましたね。

ーー1ヶ月ちょっとぐらいで準備されたのが思ったよりも時間ないなというイメージですが、その辺りはいかがでしょうか?

石本:そうですね、思ったよりも時間はなくてバタバタしてました。それに集客がやっぱり怖かったです。準備をしつつ逐一参加者の確認をしたり、どうやったらアポ取れるのか孝夫さんに考えてもらったり、現地にいる松江店の店長にも協力してもらったりしましたが、なかなか上手くいかなかったです。終えてみて、やっぱりもう少し期間が必要だなと思いました。

吉松:通常のイベントだと1か月前には必ず告知を出すし、ティザーみたいなのだったら2・3か月前から出して、1か月前にはチケット買える状態にしとくっていうのがありますね。

石本:企画とか開催にあたってというところはちゃんと丁寧にやってたんですけど、集客に関することってのはマンパワーに頼っていたところがあったのでそれは良くなかったと思っているところです。それこそプレスリース打つのかとかそういう判断も必要だったんだろうなって今思うと、企画自体が多分3ヶ月前ぐらいからちゃんと動き出していて、1ヶ月前にはローンチして集客してっていうことを、本来的にはやらないといけないっていうのは学んだところですね。

吉松:結果的にいいイベントでしたし、次への課題感は集客だなと思ってます。

ーーありがとうございます。最後に、当日を振り返ってみて思うことなどあれば教えていただきたいです。

石本:SASIができてから10年、宝塚のDOORができてから4年くらいですけど、そのイベントの時に初めてって言うとちょっと大げさかもしれないですけど、DOORが作るべき瞬間はこういう瞬間だなと思いました。この瞬間、こういった瞬間をもっともっと作っていかないと、僕たちが達成したい将来には繋がらないなと思いました。

吉松:会社は出していても地域間でまだまだ連携できていない中で、1番最初に連携できた機会ではあったかなと思いますので、そういう点では1歩前進したし、もうちょっと頑張らないとなと思いました。僕らを通してお客さんが繋がるっていうのは、理想に近づいたなと感じました。