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柔軟に適応しつつ、好きなものにはこだわりを持って

 

DOORでは個人の”アイデンティティ”をとても大切にする文化があります。「個を深く知るためのワークショップ」は、あの人の知らなかった一面や隠された本質を掘り出していこうという企画です。堅苦しいのは苦手なのであくまでゆる〜く、カジュアルな雰囲気を目指します。

この記事に登場する人

ロジャー ジャンソン

2011~2013年創造社デザイン専門学校でプロダクトデザインを学び、2013年有限会社 SPACE MAGIC MON入社。2018年から株式会社SASIのデザイナーとしてプロダクトデザイン、グラフィック・WEBデザイン、インテリアデザイン、3Dモデリング&レンダリング、通訳、幅広く活動。

ロゴデザインとか、得意と言ったらCGとかプロダクトデザインとかかな。ゲーム・漫画・アニメ・映画・ドラマとかも好き。あと最新テクノロジーとか最先端の商品とか、今で言うとAIとかそこら辺に結構興味あります。これが全部です(笑)

いや、もうちょっとあると思いますよ!例えば他の人だと性格的にこれが得意とか挙げられてたんですけど、そういうのってあったりしますか?

そうですね、結構すぐ知らない人と話せるかな。あと住めば都。

あぁ〜説得力がありますね…

あと「クライアントが作りたいものを実現する」とか。

ありがとうございます。結構出てきましたね。これから仕事とプライベートに分けて、お話を聞いていければと思います。

英語圏の優位さとIT化について

結構真ん中は多そうですね。あと趣味は趣味で分かりやすいです。パッと見て気になったのが「Youtube勉強動画」なんですけど、これはどんなものを見られてるんですか?

指導動画というか、その人がやり方を教えてくれるやつ。イラレでもなんでもいいんですけど、面白そうなテクニックがあったら参考にしたり、画面を映しながら説明してる人とか、そういうのをよく家でも見ます。フォローしてるチャンネルが多いんで定期的に更新されるのと、おすすめで出てくるものとか見てることが多いです。仕事上だったら今回はこれを作らないといけないからっていうので見ますが、家だったら単に面白そうで覚えたらかっこいいのが作れそうと思ったやつを見たりしますね。

なるほど。ちなみにそれって海外の方の動画ばっかりですか?

基本的には海外の人で、最近はちょっとtwitterとかで作字している人の短い1分動画とかは見たりしますけど、それも基本的にアメリカの人のものが多いです。何か情報が欲しいと思った時に、英語で検索した方が出てくる数が圧倒的に違うから。

そうなんですね…やっぱり海外に比べるとネットの情報とかIT化っていうのも遅れてると感じますか?

90年代とかやったら、日本は最先端の国みたいなイメージだったんですけど、そうではないということが今はバレバレで、IT系のかなり偉い人がUSBは何なのかわからないとかで結構ニュースになったりしてますね。実際日本に住んでみると全てが判子とか書類とかで対応してるし、特に遅れているのは銀行ですね。スウェーデンだったら今でも口座持ってて、携帯で無料ですぐ送金とかできるので。

日本も最近はネットバンキングとか増えてはいますけど、スウェーデンはキャッシュレスが進んでるっていうのもありますよね。

僕が住んでた10年前でもカードしか持ってない人もいたんで。今はどうなってるかわからないですけど、多分もっとキャッシュレスの人が増えてると思います。

やりがいの実感・物選びへのこだわり

「クライアントが作りたいものを実現する」っていうのは、いろんなデザインがあると思いますが、ロジャーさんだとCGで作るっていうイメージでしょうか?

そうですね、ロゴとかももちろんそうですけど、購入者に直接触れてもらう商品の方が僕は好きかな。今やってる「ERILISS」とかもそうで。僕らのクライアントもそうだし、私もそれを誰かが買ってくれるっていうのはすごく嬉しいです。前に僕がデザインしたもので郵便局の窓口に置かれたものがあるんですけど、そういうの聞くとすごくやりがいがあります。ロゴとかグラフィックだとなんて言うのか、賞とかとったら実感するかもしれないですけど計りにくくて。物を作ってそれが実際に売れて、それで直接的にこう自分がクライアントと一緒にいいもの作ったなとか、ちゃんと売れたなとか分かるから良いですね。

目に見えて分かりやすいところは確かにありますよね。だから付箋を見た時にロゴは仕事の方に寄っているけど、プロダクトデザインが真ん中なのかもしれませんね。

ロゴデザインも好きなんですけど、結構大変というか、一番自分が自然と出やすいのはCGとかプロダクトの方です。ロゴを作ってる時は、ひらめいた時が多分1番楽しい瞬間で。でもCGとか作るときは作るのも楽しいし、自分がいいもの作れたときも楽しいし、それをお客さんに見せて「え、これ写真じゃないんですか」って言われることが結構多いんで、そこが楽しいです。
それに、いいプロダクト作るのにいっぱい見ないといけないので、プライベートでも常に見てます。物も好きで、良いデザインのものは見るのも好きだし私も欲しいと思います。なので今あるこのペンとかは前から好きで、デザインが良くて僕の好みのデザインなんで買おうと思いました。僕はそんなに普段お金とか使わないんですよ。なので、何かを買うときは徹底的に調べます。広告を見てそのまま買おうというのは、もう考えられなくて。私は評論家や口コミを見て、店に行って触ってみて、そこら辺はかなりこだわってます。例えば新しいパソコンを買った時は半年ぐらい調べたりとかしました。

半年はすごいですね…ちなみにそれって大きな買い物の時だけなんですか?

でもこのペンとかでもかなり調べましたね。youtubeで万年筆の評論家の動画とかいっぱい見て。実際初めてこのペンを知ったのは、youtubeでこのペンをCGで作った人がいて、それを見てめっちゃかっこいい、僕も欲しいなと思ったのがきっかけです。そこから評論家を動画とか見て、その次は値段ですね。一番安く買えるところを徹底的に調べて買います。

それじゃあ、ロジャーさんが持ってるものはかなり調べたりこだわって買ったものが多いんですね。

持っているものはそうです。まぁそんなに多く買わないですけど。服とかも前はもっと買ってたんですけど、今はあんまり買わない。別にそこに価値はあんまり感じないようになりましたね。ちょっと値段が高くても長く使えるもの、クオリティーのいいものでデザインが好きとか、そういうものを買っています。

なるほど。その物の選び方とか、自分の持つ物一つ一つにこだわるっていうところって、すごいこの職種っぽいですよね。

住めば都、環境適応力の高さ

「すぐ知らない人と話せる」っていうのは、昔からだったんですか?

多分日本に来てひとりになってからかな。
スウェーデンでは、誰も知らないと話さない感じなんですよ。だからちょっと日本と似てるかな。
バスの中に空いてる席あったら両方空いてる席を選ぶ。横に人いたら座らないとか、結構そういう人が多いと思います。
友達とかはもちろんそうですけど、新しい人とこうその場で話すことはあんまりないかな。誰かの紹介とか、同じパーティにいたら誰かは知り合いだから、そういうのは話しやすいかもしれないですけど、普通に知らない人と声かけるのはほとんどないと思いますね。

結構日本人と似てますよね。こう、几帳面と言ったらいいのか分からないですが。

似てます、まぁちょっと冷たい印象なんですけど。でも日本に来てからは、日本語が上手になりたかったら日本語で話すしかないし、話す相手がいなかったら話す相手を作らないといけないんで、そっから生まれたかな。今SASIにいるのも多分それが結構影響してると思います。最初の面接も清人さんと普通に話せたから、それは結構大きかったと思います。ポートフォリオを持っていって、最初清人さんが資料をプロジェクターに映してどういう会社なのか説明して、そこから僕が作ったものをちょっと見せて。それですぐ昔から知ってる人みたいな感じになって、同じ日に焼肉食べに行ったかな。

そうだったんですね。面接は結構雑談みたいな話も多かったと思うんですけど、その時には日本語を話すのはもう全然問題なかったんですね。

そう、でも僕はもう1年目とか2年目にはほとんど日本語しか話してなかったです。新しいクライアントとか打ち合わせに同行する時に、ただ座って何も話さないよりは、すぐ話せるっていうのはいいことだなと思いました。僕は日本人ではないので、社長とかもどれだけ偉い人なのかわかってないから、そういうのも結構得になるかなと思ってます(笑)日本語も話せるから、みんなが逆に驚いてすぐ興味を持ってくれて話しやすいです。外国人が結構有利になってるかな、と思ってます。

なるほど…日本に来てからという話に関係するんですけど、スウェーデンも含めて今まで何箇所か住まれてきて、ここが良かったとかはありましたか。

まずスウェーデンは実家が超田舎だから、住みやすかったけど、スーパー行くまで2キロぐらい、自転車10分とか15分ぐらいかかってました。近くに湖があって、夏は毎日湖で泳いでたりしてましたね。日本に来て最初は埼玉の西川口辺りに住んで、学校は新大久保だったんで、満員電車乗らないといけなかったのはちょっと辛かったです。1年半いて一度スウェーデンに戻らないといけなかったんですが、また日本に戻りたいとは思ってました。東京は最初は全部目新しかったから良かったけど、一年くらい住んでるとちょっと人が多いなってなって、もう少しゆったりした街がいいと思い京都に住みました。京都が一番住みやすかったかな。静かなところだけど、自転車ですぐに河原町に行ける距離だったので便利でした。今は宝塚ですが、今までで1番田舎かなっていう感じです。これは前からなんですがずっと自転車で通勤していて、自転車で走ってる時間が好きなんです。いつもポッドキャストを聞いていて、有名人のインタビューとか、子供の頃から有名になるまでのストーリーを聞くのが好きで、その時間がすごく大切ですね。

かなり転々とされてきていますね。環境が変わると結構抵抗があったりストレスに感じてしまう人もいると思うんですけど、そういったことはないんでしょうか?

自分の部屋があってパソコンさえあれば、どこでもいいって感じですね。東京の時に初めて住んだところが4畳くらいで、机の下に冷蔵庫置いてるような狭いところにも住んだことがありますけど、別に気にならなかったですね。

最近の興味と好きなデザインについて

最新テクノロジーって話を冒頭にもちらっと喋ってたんですけど、最近だとどんなものが出てきてるんですか?

例えばAIで、文章入れたらその文章にあった画像が出てくるのがあって。だから、可愛い女の子がビーチで歩いて夕焼けがあって、それをピカソ風に描いてくださいと入れたら、それが出てくるんです。そういうのが色々あるんですけど、例えばGoogleの「DALL-E 2」とか「Stable Diffusion」とか。これの進化が今やばくて、例えば自分の顔の写真を15枚撮って、それをAIに「これは私です」って教えてあげるんですよ。次に、このパールイヤリングの画像に私の顔を入れてくださいって言ったら、入れてくれるんですよ。1枚作るのに私のパソコンで出しても5秒くらいで、解像度はまだ低いですけど。だから今クリエイターがみんな怖いんですよ、レベルが高いし、進化のスピードが驚くほど早い。

最近AIの進化がすごいですよね…実際に浸透するのにはまだまだかかると思ってますけど、使い方によってはクリエイターの立場が危ういですよね。
興味の話に紐づいて、最初におっしゃっていた「ミニマル系のデザインが好き・得意」というのをもう少し詳しくお話聞いてもいいでしょうか。

単純に僕がごちゃごちゃしたのが好きじゃなくて、自分でもあんまりできないし、しようとしないんですね。良いデザインっていうのは分かるんですけど。ロゴとかもそうですけど、結構幾何学、丸とか四角とかそこから連想していくことが結構多いです。元々絵が全く描けない人なので、そういうのもあってか手書きよりもパソコンで作っていくことが多いですね。ケータイやパソコンのデスクトップとかもゴチャゴチャしたのが嫌で、綺麗にフォルダ分けて何もない状態に常にしてますね。このテクノロジーが整理されてると、僕も整理されてるようなイメージです。

確かにパソコンのデスクトップもほぼ何も出てなくて、綺麗な状態ですね。いつ頃からそういったことを意識されるようになったんですか?

結構前からそんな感じですね。部屋とかでも物を出すのはあんまり好きじゃなくて、何もない状態にポンと一つ置かれてるとかいうのが好きかな。前からパソコンの中の整理とかは気にしてた方だけど、多分デザインを始めてから本格的にこういう風になりましたね。

趣味は広く、何にでも触れる

仕事に関することが多かったのでちょっと趣味の方の話もお聞きしたいんですけど、ファンタジーの本っていうのも英語のものですかね。

そうですね、英語のもので日本ではあんまりないかな。「ロードオブザリング」とかそういう系ですね。最初は小さなことから始まって、次第に全体・世界の話みたいになっていくのが結構好きですね。読んでるんじゃなく聞いてるんですけど、結構長いので一つの作品で30時間とかあります。自分の世界に入れる感じがして好きです。

結構長いですね…!多分そういう没入感が気持ちいいっていう感覚ですよね。漫画とかアニメが好きな理由も同じ感じでしょうか?

漫画とかアニメはもうちょっと軽い感じですね、見ていてスカッとするとか、あんまり考えずに見れます。だからジャンルも結構何でも見てて、少年漫画系のものや、スポーツ系や、デスノートみたいな青年系のものも見ます。仕事しながら裏でドラマを流したりとかもするんですけど、本当に見たいというよりも、仕事する時でも結構ノイズが欲しいんですね。音楽はダメなんですけど、誰かが喋ってるのが聞こえたりする方が良くて、だからいつも何か流してます。

シーンとなってる空間で作業しにくいっていうのは私も感じることあります。カフェで仕事している人とかも同じ感覚かもしれませんね。TV番組とかも書いてくれていますが、日本のバラエティーでも面白いって感じますか?

日本語も全然分からなくて日本に行こうとも思ってなかった時代から、「笑ってはいけない」のやつは毎年見てましたね。日本のお笑いの中では分かりやすくて、リアクションも大きいし、そんなに難しくないから。逆に漫才とかはもう無理なんですよ。「IPPONグランプリ」も海外のパネルショーに似てて好きです。

漫才とかは確かに感覚を理解できないと分からない話とかもありますもんね。今ふと思ったんですが、これを見る時も全部英語で見てますか?

いや、全部元の国の言語で見てます。吹き替えは一切見れなくて英語の字幕で見てます。スウェーデン語はなんかダサくて…(笑)

そうなんですね(笑)ゲームも好きな印象ですが、どんなジャンルのものされてるんですか?

ゲームできる時間が少なくて、クリアするまで時間がかかるゲームっていうのはもうできなくなってますね。なのでローグライクって言って、死んだら最初からやり直すようなゲームが1番好きです。あとは対戦ゲームで、最近はスプラトゥーン3をやってるけど、5分で1ゲーム終わるからやりやすい。昔はRPGとかしてて高校の時は1日10時間とかしてたけど、今はそこまで時間取れないですね。でもストレス発散にはなってます。あとサバゲーもすきですね。子供の時から結構銃銃が好きで、僕のおじいさんは漁師だったんで、一緒に森の中に出てライフル打ったりとかやってたんです。自分でもエアガン持ってたりしたけど、誰かと一緒に森に出て戦ったりはしたことがなかったので、夏は暑くてできなかったですけど早くサバゲーやりに行きたいです。